2. 構成設計にあたり目標とすること

2.1. ネットブートであること

「CO-Colors いか」はネットブートにより端末を起動するシステムです。

ローカルブートする端末は、端末が起動する際やアプリケーションを起動する際に端末に内蔵するローカルディスクから読み込みつつ動作します。

これに対し「CO-Colors いか」によりネットブートする端末は、これらのローカルディスクからの読み込みを「サーバー上の仮想ディスクからの読み込み」に変換し、データをネットワーク越しに転送します。

つまり原則としては、端末がデータを必要とするたびに、サーバーからデータを転送します。 そのため、サーバーとの間のネットワークは常時つながっていることが必要です。

2.2. 負荷集中を避けること

「CO-Colors いか」はキャッシュを活用することで、負荷を集中させないネットブートシステムです。

ネットブートシステムでは、OS やアプリケーションが必要とするたびに、サーバーからデータを転送します。 多数の端末を一斉に起動すると、その要求が全てサーバーに送られ、サーバーから大量のデータが端末に送信されます。 そのため多数の端末を一斉に動作させた際にはサーバーと端末の間のネットワークやサーバー自身に負荷が集中し、動作が遅くなることが懸念されま す。

これに対し「CO-Colors いか」は各端末の内蔵ディスク上にサーバーから読み込んだデータをキャッシュ(読み込みキャッシュ)として貯めておくこ とで、サーバーやネットワークへの負荷集中を避けようとします。 OSが起動するときやアプリケーションを起動するときには同じようなデータを繰り返し読み込むことになるため、読み込みキャッシュを活かせば サーバーからの読み込みはほとんど生じなくなります。

つまり、サーバーからデータを転送するのは最初の1回限りであり、2回目以降にはサーバーからの転送はほとんど発生しません。

2.3. トータルコストを下げること

「CO-Colors いか」はネットブートの特徴を活かすことで、セキュリティを高めつつ運用コストを下げるネットブートシステムです。

ネットブートを活用すると、運用の自由度が高まります。 ネットブートであれば更新頻度を高めても運用コストはそれほど変わりません。 この特徴を活かして毎日・毎週といった頻度でディスクの更新をおこない、ディスクを常に最新の状態に保ちセキュリティを高めてこそ、ネットブートとしての特徴が活きます。

「CO-Colorsいか」は、ディスクの更新作業にあたり管理者を待たせないように設計されています。 ディスクの更新作業は端末が運用中でも随時実施できます。多数のディスクを同時に更新することもできます。 さらには、更新されたディスクをサーバー間で同期する作業は即座にでも夜間バッチででも実行できます。

結果として管理者が無駄に待つこともなく、休日作業や夜間作業をする必要もなくなり、運用コストが下がります。

2.4. 端末起動が高速であること

「CO-Colors いか」は、ネットブートでありながらも端末の起動が非常に高速です。 端末の電源を入れてから利用できるようになるまでの時間は、利用者にとっては単に待ち時間となってしまうため、起動は速ければ速いほどよいで しょう。

「CO-Colors いか」は、キャッシュを使わずに動作する際には、サーバーとネットワークのリソースを最大に活かせるようにバランスを取ります。 キャッシュを使って起動するときには、ディスクアクセスパターンにあわせて最適化されたキャッシュ構造により、更新作業を繰り返した後においても高速性を維持するように工夫されています。

いずれの場合においても、端末台数が少ないときにはローカルブートよりも高速なことすらあります。