1.3. キャッシュについて

1.3.1. ReadCache

ネットブートはサーバー上に配置されたディスクイメージを読み書きしながら動作するため、端末とサーバーとの間には多くの通信が発生します。 特に、端末の起動時には、サーバー上のディスクイメージから多くのデータを読み込む必要があり、サーバーやサーバーとの間のネットワークに負荷がかかります。 そのため、多数の端末を一斉に起動すると負荷が集中し、ネットワークの輻輳や端末の起動時間の増加、端末の性能劣化が懸念されます。

これを防ぐため、ほたてはサーバーから読み込んだデータを端末側の内蔵ドライブにキャッシュし、同じデータを再度読み込むときにはサーバーからではなく端末内のキャッシュから読みます。 この仕組みを読み込みキャッシュ(ReadCache)と呼びます。

端末が起動時に必要とするデータは端末内にキャッシュされやすく、ReadCache を活用することで端末を再起動した時にはサーバーとの通信はほとんど発生しなくなります。サーバーやネットワークへの負荷もほとんど生じません。 多数の端末を一斉に再起動しても、起動時間への影響はほとんどなく、スムーズに作業を開始できます。

ネットブートにおける読み込みキャッシュは、「端末が必要としたデータのみを端末内にキャッシュする」という特徴があり、ディスクイメージのサイズに比して小さなキャッシュ容量で最大の効果を発揮できるというメリットがあります。

また、ほたてには別のキャッシュ方式として、ディスクイメージの全体を端末の内蔵ドライブ内に保持する「フルキャッシュ」という機能もあります。この機能を使うと端末動作時にサーバやネットワークに一切依存せずにローカルブートできるので、オフライン起動する端末や無線LAN運用を必要とする環境におけるディスクイメージ管理に役立ちます。

メモ

ネットブート時においてもフルキャッシュ時においても、サーバー上のディスクイメージと同じデータを端末内の読み込みキャッシュ領域に蓄積します。

1.3.2. WriteCache

ほたては「サーバ上にある1つのディスクイメージ」を複数の端末で共有します。 一方で端末が動作している間にOSやアプリケーションがディスクイメージを変更しようとしますが、ディスクイメージは多数の端末が参照するもののためそれぞれの端末が変更することはできません。 このときに使われる技術が「WriteCache」です。

WriteCacheは以下の2つの目的に利用されます。

  • 各端末が Cドライブを変更したいときには、ディスクイメージをいじるのではなく、代わりに各端末のWriteCacheに書き込みます。これにより、1つのディスクイメージを共有しながら多数の端末を動作させることができます。

  • WriteCacheのデータを初期化(消す)するだけで、端末を元の状態に復元できます。標準設定では、端末を再起動したときに初期化するように設定されています。

    Tips

    WriteCacheをPersistentモードに設定すると、再起動してもWriteCacheを初期化せずにデータは残り、端末は前回起動時の続きで動作します。

WriteCache のデータは、標準設定では端末内のキャッシュ領域に保存されます。 このモードを「標準モード」と呼びます。

一方、WriteCache を無効にすると、端末側で書き込まれたデータはサーバー上のディスクイメージに書き込まれます。これを「更新モード」と呼びます。

端末が更新モードでネットブートしているときには、書き込んだデータはサーバーに送信されます。サーバ側でそのデータをディスクイメージに書き込むことで、新たなバージョンを作ることができます。

メモ

WriteCache を無効にできるのは、1つのディスクイメージに対して同時には1台の端末のみです。

メモ

WriteCacheは、起動中の端末における操作のデータをキャッシュします。 * 端末が標準モードでネットブートしているときには、 書き込んだデータを端末内のWriteCacheに記録します。WriteCache のデータは、通常は端末内のキャッシュパーティションに保管されます。

  • 端末が更新モードでネットブートしているときには、書き込んだデータはサーバーに送信されます。

1.3.3. キャッシュの容量

ネットブートで稼働させる場合、ReadCache、WriteCacheを効果的に動作させるために、端末の内蔵ドライブは 64GB 以上の SSD が推奨されます。

ネットブートで起動した端末を利用中に Write キャッシュの容量が不足した場合には、端末の動作が不安定になる可能性があります。

キャッシュの容量の詳細については キャッシュの容量 をご参照ください。