1.4. フルキャッシュについて

ほたてにはフルキャッシュ機能があります。

フルキャッシュ機能とは、端末の内蔵ディスクにディスクイメージのすべてをキャッシュする技術のことです。

端末内にディスクイメージの全体を保持しているので、端末起動時にネットワークやサーバに依存しません。無線運用や貸出PCのような「有線LANを使えない環境や運用」においても端末を使うことができます。

このようにフルキャッシュのメリットとして「ネットワークに依存せずに端末を起動できる」という点がありますが、これは「サーバ障害時やネットワーク障害時においても端末を起動できる」とメリットにはすぐには繋がらない点に注意してください。 通常時にサーバやネットワークと通信できることを前提としている環境では、仮に端末を起動できたとしてもその環境を利用すると「ログインできない」「プロファイルが壊れる」「データが消える」といった別の障害につながる可能性が非常に高くなります。そのため、通常時に「サーバやネットワークと通信できることを前提とした環境」においては特別な対策なしにフルキャッシュを利用しないようにしてください。

また、フルキャッシュは端末の内蔵ドライブを多く消費し、イメージ更新を行うたびに端末への配信に時間がかかるといったデメリットもあります。

そのため、フルキャッシュ技術は次のような環境においてのみ利用することを推奨します。

  • CBT試験 : ネットワークから切断された環境で端末を起動することを前提とした環境
  • 貸出PC : 端末には共有IDでログインし、プロファイル等を利用しない環境

なお、前述の通りフルキャッシュ技術には大きなデメリットがあります。フルキャッシュを使わざるを得ないときには、次の点に注意ください。

  • 端末の内蔵ドライブの容量

    端末に割り当てるディスクのCドライブサイズは「内蔵ドライブが256GBならC:は100GB程度まで」「内蔵ドライブが512GBなら、C:は300GB程度まで」としてください。 これは端末に割り当てるディスクが1種類のみのときを想定しており、2種類以上のディスクを割り当てるときには更に詳細な検討が必要になります。

  • イメージ配信に要する手間と時間

    端末の初期展開時には、各端末に大容量のデータを配信するのに手間と時間がかかります。 また、イメージを更新した都度、各端末に差分となるデータを配信する必要があります。 この差分データは「小さな更新作業においても、数GBのサイズ」になることもあるため、イメージ更新後にそのイメージを使えるようになるまでには長い時間が掛かる可能性がある点に計画と注意が必要になります。

  • ネットワークへの負荷

    イメージの初期配信や差分配信をしている間はネットワークに大きな負荷がかかります。 他の通信に影響が出る可能性がある点にご注意ください。

なお、1台の端末をネットブートとフルキャッシュの両方で利用することもできます。 通常は有線LAN接続でのネットブートしつつ、ネットワークが切れている時にはフルキャッシュに切り替えるような運用も可能です。 内蔵ドライブを多く消費する点は変わりないですが、教卓に設置する端末などに使用できるかもしれません。