3. 配信

3.1. 配信状況の確認方法

どのようなディスクが配信されているかどうかは、CO-Spray コンソール端末一覧 において 配信状況 カラムで確認できます。

状態を最新の状態に更新するには F5 キーを押すか、メニューから [表示] > [更新] を選択してください。

3.2. 配信ポリシーについて

配信ポリシーは、端末に対する配信処理の設定を管理します。 配信ポリシーを管理する方法は、CO-Spray コンソール配信ポリシー を参照してください。

配信ポリシーは、特定の端末に対して割り当てるのではなく、端末が利用する IP アドレスに対して割り当てます。 すなわち、同じ端末でも異なるIP アドレスをつかっているときには、異なる配信ポリシーを利用します。 これにより、「無線環境では配信しないが、有線に接続したときには配信する」といった構成をとることもできます。

3.2.1. 端末が利用する配信ポリシーの決定方法

どの端末がどの配信ポリシーを利用するに所属するのかは、CO-Spray コンソール配信ポリシー を選択したときに、右側に表示される端末から確認できます。

配信ポリシーが適用される対象の IP アドレスは CO-Spray コンソール配信ポリシーのプロパティー対象アドレス で指定します。 対象アドレス には サブネットワーク もしくは IP アドレスの範囲 の 2 種類があります。 詳しくは 対象アドレス を参照してください。

端末が所属する配信ポリシーは厳密には次のように決定します。

  1. 配信ポリシーが IP アドレスの範囲 で指定された範囲に「端末の IP アドレス」が含まれるのであれば、端末はそこに所属します。
  2. サブネットワーク で指定された配信ポリシーの範囲に「端末の IP アドレス」が含まれるのであれば、端末はそこに所属します。 複数の配信ポリシーがある場合は、含まれる端末台数が少ないほうに所属します (255.255.255.0 と 255.255.255.128 がある場合、255.255.255.128 を選ぶ)
  3. 見つからない場合は「デフォルトの配信ポリシー」に所属します。

例えば、次のような配信ポリシーがあるものとします。

ネットワーク名 種類
A サブネットワーク 192.168.0.0/24
B サブネットワーク 192.168.0.0/25
C IP アドレスの範囲 192.168.0.10 - 192.168.0.12
(例) 192.168.0.129 の端末
A にだけ含まれるので、A に所属する
(例) 192.168.0.1 の端末
A, B に含まれるが、B のほうが範囲が狭いので、B に所属する
(例) 192.168.0.11 の端末
A, B, C に含まれるが、C が「IP アドレスの範囲」なので、C に所属する

3.2.2. 実在するネットワーク

ブロードキャストまたはマルチキャストを利用するためには、ネットワークが実在するサブネットワークである必要があるようになりました。

つまり、次のすべての条件を満たしている必要があります。

  • 配信ポリシーの 対象アドレス が「サブネットワーク」で指定されていること
  • 対象アドレス のサブネットマスク」と「配信ポリシーが適用される対象の端末において、実際に使用しているサブネットマスク」が一致すること

これを満たさないネットワークでブロードキャストまたはマルチキャストを行う設定をすると、CO-Spray コンソールで対象のネットワークを選択したときに、ステータスバーに「実在するサブネットワークではないため、ブロードキャストは利用できません」といった警告が表示されます。

例: 端末の IP アドレスが 192.168.0.101/24 とする

  • 192.168.0.0/24 のネットワークだけがあるとき、ブロードキャストまたはマルチキャストを 利用できます
  • 192.168.0.0/24 と 192.168.0.0/25 のネットワークがあるとき、端末は 192.168.0.0/25 に 所属する。192.168.0.0/25 は実在しないサブネットであるため、ブロードキャストまたは マルチキャストを利用することはできません。

3.3. 配信方式について

配信ポリシーごとに、配信ポリシーのプロパティー配信方式 において、4 種類の配信方式を選択できます。 それぞれの配信方式について説明します。

3.3.1. 直接ユニキャスト

端末は CO-Spray サーバーから直接ディスク イメージを受信します。

プロトコルは TCP を利用し、帯域やセッション数を制限できます。 それぞれ 配信ポリシーのプロパティー配信タブ で指定します。

帯域:ユニキャスト通信 > 転送速度
セッション数:ユニキャスト配信 > 最大セッション数

各端末が CO-Spray サーバーから直接ディスク イメージを受信するため、多数の端末が同時に接続すると、アップリンクや CO-Spray サーバーに対して負荷が集中します。 端末の数が多いときには、他の配信方式を利用することを検討してください (詳しくは 配信方式の選択 を参照ください)。

3.3.2. 階層型ユニキャスト

各端末は同一セグメント内の代表端末から、ユニキャストによりディスク イメージを受信します。 代表端末の決定手順については、代表端末の決定フロー を参照してください。

プロトコルは TCP を利用し、帯域やセッション数を制限できます。 それぞれ 配信ポリシーのプロパティー配信タブ で指定します。

帯域:ユニキャスト通信 > 転送速度
セッション数:ユニキャスト配信 > 最大セッション数

ディスク イメージの転送が同一セグメント内に閉じるため、アップリンクおよび CO-Spray サーバーへの負荷を減らすことができます。 ただし、「転送する台数×ディスク イメージのサイズ」分のデータを転送する必要があるため、台数が多いときには ブロードキャストマルチキャスト の利用を検討してください (詳しくは 配信方式の選択 を参照ください)。

3.3.3. ブロードキャスト

各端末は同一セグメント内の代表端末から、ブロードキャストによりディスク イメージを受信します。 代表端末の決定手順については、代表端末の決定フロー を参照してください。 ブロードキャストを指定された 配信ポリシー実在するネットワーク である必要があります。

UDP プロトコルを利用し、次のような特徴を持ちます。

  • ブロードキャストを利用するため、同一サブネットワーク内の多数の端末に対して、同時に配信を実施できます。
  • 帯域制限ができます。
  • データを圧縮して配信できるため、転送量および配信時間を削減できます。
  • データの部分的な欠落に対応するために、配信するデータにパリティーをつけたり、再送回数を指定することができます。
  • データの取りこぼしや欠落、途中での電源断などが生じた際には、一連の配信が終了したあとに、足りていない領域の再送を要求します。

多くのパケットがネットワーク内に送信されることになるので、他の機器やネットワークに影響を与えないようにネットワーク構成に十分注意してください。

パラメーターは 配信ポリシーのプロパティー配信タブ で指定します。

帯域:ブロードキャスト配信・マルチキャスト配信 > 転送速度
パリティーの量:ブロードキャスト配信・マルチキャスト配信 > エンコード方式
再送回数:ブロードキャスト配信・マルチキャスト配信 > 再送回数
圧縮方式:ブロードキャスト配信・マルチキャスト配信 > 圧縮
再送回数:ブロードキャスト配信・マルチキャスト配信 > 再送回数

3.3.4. マルチキャスト

各端末は同一セグメント内の代表端末から、マルチキャストによりディスク イメージを受信します。 代表端末の決定手順については、代表端末の決定フロー を参照してください。 マルチキャストを指定された 配信ポリシー実在するネットワーク である必要があります。

UDP プロトコルを利用し、次のような特徴を持ちます。

  • マルチキャストを利用するため、多数の端末に対して、同時に配信を実施できます。
  • 帯域制限ができます。
  • データを圧縮して配信できるため、転送量および配信時間を削減できます。
  • データの部分的な欠落に対応するために、配信するデータにパリティーをつけたり、再送回数を指定することができます。
  • データの取りこぼしや欠落、途中での電源断などが生じた際には、一連の配信が終了したあとに、足りていない領域の再送を要求します。

多くのパケットがネットワーク内に送信されることになるので、他の機器やネットワークに影響を与えないようにネットワーク構成に十分注意してください。

パラメーターは 配信ポリシーのプロパティー配信タブ で指定します。

帯域:ブロードキャスト配信・マルチキャスト配信 > 転送速度
パリティーの量:ブロードキャスト配信・マルチキャスト配信 > エンコード方式
再送回数:ブロードキャスト配信・マルチキャスト配信 > 再送回数
圧縮方式:ブロードキャスト配信・マルチキャスト配信 > 圧縮
再送回数:ブロードキャスト配信・マルチキャスト配信 > 再送回数
マルチキャストアドレス:マルチキャスト配信 > マルチキャスト アドレス

3.3.5. 代表端末の決定フロー

「直接ユニキャスト」以外では、最初に 代表端末 に対してユニキャストでディスク イメージを配信したあと、代表端末から残りの端末に対してそれぞれの方式で配信を実施します。

代表端末の決定から配信までの処理は次のような順番で実施されます。

  1. 代表端末を選びます。

    ディスク イメージの配信元となる端末を代表端末として選びます。 代表端末は次のような流れで決定します。

  2. 代表端末が配信ポリシー内の端末であり、代表端末が配信対象のディスク イメージを保有していない場合は、代表端末は CO-Spray サーバーからユニキャストでディスク イメージを受信します。

    このとき、TCP を利用し、帯域については 配信ポリシーのプロパティー配信タブユニキャスト通信 > 転送速度 で指定された値を利用します。

  3. 指定された配信方式で配信処理を開始します。

    階層型ユニキャスト:

    配信ポリシーに所属するそれぞれの端末は、代表端末からユニキャストでディスク イメージを受信します。

    ブロードキャスト:

    配信ポリシーに所属するそれぞれの端末は受信を待機し、代表端末はブロードキャストでディスク イメージを送信します。

    マルチキャスト:

    配信ポリシーに所属するそれぞれの端末は受信を待機し、代表端末はマルチキャストでディスク イメージを送信します。

3.3.6. 代表端末の固定方法

代表端末を固定すると、常に特定の端末からディスク イメージが配信されるようになります。 設定手順は次の通りです。

  1. CO-Spray コンソール を開く。
  2. 配信ポリシーのプロパティー において 配信タブ を開く。
  3. 配信方式直接ユニキャスト 以外に設定します。
  4. 配信元 の横の [変更] ボタンを押して、配信元となる端末を [固定] から選び、[OK] ボタンを押します。
  5. [OK] ボタンを押して 配信ポリシーのプロパティー を閉じます。

代表端末と配信先が別のサブネットワークの場合の設定方法

代表端末と配信先の端末が別のサブネットワークに存在して、階層型ユニキャストで配信する場合には、少し設定手順が複雑になります。

ここでは、代表端末が教卓機、受信する端末が学生機とします。 教卓機用のイメージは A、一般端末用のイメージは B とします。 教卓機には十分なディスク容量があるものとします。

教卓機

端末グループのプロパティー においてディスク A、B を追加します。

ディスク A に対して [利用する] ボタンを押して、利用する設定にします。

ディスク B の ディスクのプロパティー において、すべてのバージョンを配信するために 端末側で保持するバージョン数 を大きい数 (9999 など) に設定します。 端末で保持する最大容量 を十分大きい値に設定します。

学生機
所属する 端末グループのプロパティー においてディスク B を追加します。 学生機が所属する 配信ポリシー において、配信方式[階層型ユニキャスト]配信元 を教卓機の端末とします。
動作
  1. ディスク B の新しいバージョンが CO-Spray サーバー上に作成される。
  2. 教卓機が CO-Spray サーバーから直接ユニキャストでディスク イメージを受信する。
  3. 学生機は教卓機からディスクイメージを階層型ユニキャストで受信する (教卓機の電源が落ちているときには、学生機への配信処理は動作しない)。

3.3.7. 配信方式の選択

次のような観点で、配信方式を選択してください。

  • 端末がどのようなネットワーク接続の場所に配置されているか、
  • サーバーと端末との間の通信品質はどの程度か、どの程度の帯域を消費してよいか、
  • 端末どうしの間で通信を行えるか

おおよそ、次のような選択基準となります。

  • 端末同士での通信を行えない → ユニキャスト配信
  • 端末台数が非常に少ない(10台以下程度)→ 直接ユニキャスト
  • 同時に多数の端末 (およそ50台以上) が起動している時間帯が多く、かつ、ブロードキャストやマルチキャスト通信を利用できるネットワーク構成 → ブロードキャストまたはマルチキャスト
  • 上記のいずれにも合致しない → 階層型ユニキャスト

3.4. 配信するバージョンの計画

配信を実施するときには、端末がどのバージョンのディスク イメージを配信するかどうかを決定します。 どのバージョンを配信するかどうかに応じて、ディスクのプロパティー配信ポリシー の設定を変更します。

以下ではいくつかの設定例を説明します。

3.4.1. 常に最新バージョンで起動させたい場合

端末が常に最新バージョンのディスク イメージで起動するように設定します。 新しいバージョンが CO-Spray サーバーに追加されたらすぐに配信します。 配信が完了した端末では、次に起動するときには新しいバージョンで起動します。

項目 設定値
ディスクのプロパティー > バージョン (最新版)
ディスクのプロパティー > 利用開始 次回起動時に利用開始する
配信ポリシー > 配信タブ > 端末にディスクを配信する 有効

3.4.2. 最新バージョンは配信するが、起動するディスクは変更しない場合

端末が特定のバージョンのディスク イメージで起動するように設定します。 新しいバージョンが CO-Spray サーバーに追加されたらすぐに配信しますが、配信が完了したとしても端末は現在利用中のバージョンを利用し続けます。

配信完了後、新しいバージョンを利用させたいときには 起動するバージョンの計画 の手順を実施してください。

項目 設定値
ディスクのプロパティー > バージョン (最新版)
ディスクのプロパティー > 利用開始 利用しない
配信ポリシー > 配信タブ > 端末にディスクを配信する 有効

3.4.3. 特定バージョンのディスク イメージのみを配信する

端末が特定のバージョンを保有していない場合には、そのバージョンのディスク イメージを配信します。 新しいバージョンが CO-Spray サーバーに追加されても配信しません。

項目 設定値
ディスクのプロパティー > バージョン 特定のバージョン (配信または起動するバージョン)
ディスクのプロパティー > 利用開始 任意
配信ポリシー > 配信タブ > 端末にディスクを配信する 有効

3.4.4. 配信しない場合

新しいバージョンも含め、すべての配信処理を一切実施しないときは次のように設定します。

項目 設定値
配信ポリシー > 配信タブ > 端末にディスクを配信する 無効

3.5. 起動するバージョンの計画

端末が特定のバージョンのディスク イメージを利用するように制限します。 この機能により、一部の端末でだけ最新バージョンを試す、その後に全端末で最新バージョンの利用を開始する、といった運用フローが実現できます。

端末が起動するバージョンは CO-Spray コンソールバージョン で指定します。 端末のプロパティー端末グループのプロパティーディスクのプロパティー のいずれでも指定できますが、複数の個所で指定されている場合には ディスクのプロパティーの優先順位 に従います。

以下にいくつかの設定例を説明します。

3.5.1. 次回起動時に指定したバージョンで起動する

端末が バージョン で指定されたバージョンで起動していないならば、次に起動するときに バージョン のディスクイメージで起動します。 起動していない端末の場合は、一度電源起動したあと、その次の起動時に バージョン のディスクイメージで起動します。

項目 設定値
ディスクのプロパティー > バージョン 特定のバージョン
ディスクのプロパティー > 利用開始 次回起動時に利用開始する

3.5.2. すぐに再起動して指定したバージョンで起動する

端末が バージョン で指定されたバージョンで起動していないならば、直ちに再起動して、バージョン のディスクイメージで起動します。 起動していない端末の場合は、一度電源起動したあと、サーバーと通信した時点で再起動して、バージョン のディスクイメージで起動します。

項目 設定値
ディスクのプロパティー > バージョン 特定のバージョン
ディスクのプロパティー > 利用開始 強制的に再起動して利用開始する